2011年10月20日木曜日

ルーシー・ウォーカーさんの「津波そして桜」

先日、時計のブランドのシャリオールのクリエイティブ・ディレクターであるコラリー・シャリオールさんからメールがきた。
彼女は、ご主人のデニスさんと、社会的なテーマを取り上げるドキュメンタリーを上映して、そこからチャリティ活動につなげるというReact To Film(サイトもあるのだが、フェイスブックページのほうがよく更新されているようです)という非営利団体を主催している。
今回は、ルーシー・ウォーカーさんが撮った"The Tsunami and the Cherry Blossom" という作品のご案内がきた。

正直、ご案内を受け取ったときは、タイトルとフライヤーを見たときは不安になった。
チージーなものも、泣かせるものも苦手だからだ。
でも、ルーシー・ウォーカーさんといえば、Countdown to zeroとかWaste Landのように社会派作品が多いので、どんな作品になっているのか出かけてみた。

実際、作品は、被災地の人たちの姿を、日本人にとって桜がどういう存在か、というサブテーマを重ねつつ描いたものだった。
放射能の話も、東電の話もちらりと出てくるけれど、主役は人だった。
やっぱり泣いてしまったけれど、私は出かけてよかったと心から思った。

聞いたら、ウォーカーさんはもともと桜が大好きで、桜をテーマにした短編を撮ろうと思っていたという。
ところが震災が起きた。
それで一度は諦めかけたものの、やっぱり震災と桜を絡めた作品にしようと思ったのだという。

今、アカデミー賞のショートリストまで残っている(ノミネーションの一歩手前)という作品の上映会、私が出かけた会は、お客さんのほとんどが非日本人だった。
みんな津波のシーンに息をのんだり、避難所の人々の映像に涙を流したりしている。

5月にチャリティのフリマをやってから、これからどうやって何をすればいいかということを悩みながら、非営利団体申請の手続きにえらく時間がかかってしまっていることなどもあり、あまり具体的に行動を起こせずにきた。
日本についてのカバレッジが減った今、そして、ほかにも援助が必要な国がやまほどあるなか、日本を助けてくださいとお願いし続けるべきなのか、どうお願いするべきなのか、ということについて考えてきた。
そんなときに見たこの作品である。
日本人が言いあぐねていることを、かわりに言ってもらったような気持ちになった。

React to Film のお二人は、College Action Network
というネットワークを使って、これからこの作品を全米の大学で上映しようとしている。
「具体的にお金を集めることもそうだけど、まだ日本が大変なんだということを伝える努力をしていく」と、主催者のデニス・ポールさんが言っていた。