2011年6月21日火曜日

RagTag by Tao Okamoto and Fashion Friends for Save Japan!ビデオ

こうやって改めて書くと長いですね、イベントのタイトル。
ツイッターとかフェイスブックを見てくれている人はもうご存知かもしれないので、しつこいぞ、と思われるかもしれないのですが、ブログだけを見てくださっている人もいるみたいなので、こちらにも残しておきます。

NYでイベントをやるにあたって、TAOちゃんの動画メッセージを日本のみんなに届けたいと思ってビデオをお友達にお願いしたら、こんなショートドキュメンタリーになってきました。

Sunday at Saturday's (English Subtitles) from Jim Helton on Vimeo.



撮ってくれたのは、私のNYで一番旧い友達の一人、Jim Heltonと、彼が紹介してくれた写真家で映像家のAtsushi Nishijimaさん(ジマくんと呼んでいる)。
ジムは最近では映画「ブルー・ヴァレンタイン」の編集をつとめた腕利きだし、ジマくんもかなりの売れっ子である。
そんな二人がチャリティだということで、ボランティアで作ってくれたビデオは、NYの友人たちが、ちょっとずつ助けてくれたことで実現したイベントのエッセンスをよくとらえてくれているし、このビデオができたこと自体もまさにそのエッセンスだと思う。

これがきっかけで、今鋭意準備中のPeriscopeのビデオもひとつ作ってもらえることになった。
こういうオーガニックな人間関係の広がり方が、最近とみにうれしい。
というわけで、みていただけるととてもうれしいです。
ありがとう。

2011年6月15日水曜日

ギル・スコット・ヘロンと原発

先日、ギル・スコット・ヘロンが亡くなったことは、ご存知の方が多いと思う。
GSHには「黒いディラン」とか、「ラップの父」というまったく奇妙な代名詞がついていることが多くて、それには腹を立てたりもしているのだが、個人的には、多くの分野にクロスオーバーした詩の巨匠と認識している。

インタビューということでいうと、私はおじいさんフェチで、それは自分の知らなかった時代のことを知っているから聞きたいことが多いという理由なのだが、もちろんギル・スコット・ヘロンにインタビューしたいと思ったことはあって、I'm New Hereが出たときに、タイミングを見て申し込もうと、エージェントの連絡先をゲットしていたのだった。
が、実際にインタビューを申込む段階まで行かなかったのは、ニューヨーカー誌に去年の夏掲載されたプロファイル記事を読んだからである。
これには、GSHがインタビューにうんざりしている様とか、まだクラックをやっていたこととかがかなりリアルに描かれていて、よっぽど腰をすえてやらないとうまくいかないという気がしたのです。
付き合っていた女性ともめたり、ドラッグ所持で逮捕されたりするたびに、NYではニュースになっていたし、実際、ショーのチケットを買ったはいいが、当日にキャンセルされるようなことも何度かあったので、驚くべきことでもなかったのだが。
このプロファイルには、子供時代のことなども書かれていてとてもおもしろいので、時間がある人は読んでみてください。

GSHが亡くなったので、私もご多分に漏れず、GSHを聴きまくったりしてみたのだが、気がついたことがある。
それは、We Lost Almost Detroitという原発をテーマにした曲を書いていて、1977年に発表したアルバムのなかに収録されていたということである。
原発の事故というと、スリーマイル島の事故が世界初だと思っていたが、デトロイト郊外のエンリコ・フェルミ原子力発電所で1966年に炉心溶融が起きていた。
私もこれについてまったく知らなかったし、まわりに聞いてみても、知らない人が多いようである。

さらに調べてみると、1979年にスリーマイルの事故が起きて、そのあとにMusicians United for Safe Energyというグループができて、コンサートなどを企画した。
その9月には、20万人近くの人が参加するデモも起きた。
コンサートの様子がYouTubeにアップされていたので、ここにはってみます。


カルチャーが何をできるか、という問題は、私の大きいテーマのひとつである。
でもこうやっていろいろ見てみると、何か起きるたびに、この手の運動がたびたび盛り上がりつつも、結局、なにかが変わることはなかったのだと気がついて、脱力しそうになります。
が、今の日本がおかれているほどの緊迫性は、これまでなかったわけで、ネットで見た人も多いと思うけれど、大友良英さんがおっしゃるように、今の当事者性を、文化を使って世界に発信していけるのは今だけだという気がする。
そういうことを、ギル・スコット・ヘロンの「We almost lost Detroit」を聞きながら考えてみたのでありました。