2010年6月30日水曜日

期待の新ギャラリー「the hole」

先週、ダイチ・プロジェクツの元ディレクター、キャシー・グレイソンとが新しいギャラリーがソーホーにオープンした。
その名もthe hole

ご存知のとおり、ニューヨークのアートシーンを牽引してきたギャラリスト、ジェフェリー・ダイチがLAのMOCAのディレクターに就任することになって、ダイチ・プロジェクツはその扉を閉めることになった。

というわけで、行ってきました、オープニングに。
プレスリリースも読まずにとりあえず出かけ、入り口でもらったリストを見ると、そうそうたるアーティストが名前を連ねている。
テレンス・コー、バリー・マクギー、ザイラー・ジェーン、ディアレインドロップ、私が取材したことあるオーレル・シュミットとエヴァン・グルジス、お友達のマイケル・ウィリアムズ。
見ただけでわくわくする感じ・・・
作品の数もすごいし、インスタレーションの方法もイケてる・・・

土曜の夕方のソーホーのオープニングなんて、人が集まらなさそうな感じなのだが、お酒も出なかったわりに、NYのカルチャーシーンのパワープレイヤーたちがどんどん集まってきた。
さすが、である。

なんて思って1周したあとに、急にあれ?と思った。
なんか中途半端な感じの作品が多いのである。
そしてプレスリリースを読んで納得。
タイトルは「Not Quite Open for Business」。
予定していたショーのスポンサーが急に降りて、実現できなくなった。
というわけで、急遽アーティストに声をかけて、未完成の作品を提供してもらい、グループ展にこぎつけた、という話である。

うーむ、なるほど。
私も親友がギャラリストなので、ギャラリー運営やショーを実現することの大変さはわりとわかっているつもりである。
そしてコンセプトはおもしろいと思う。

それでもちょっぴり腑に落ちない感じ。
未完成の作品売るのだろうか?
完成させてから売るのだろうか?
とか。
ダイチ色が強いし、もうちょっと新しいものを見せてほしかったな、なんて思ったり。
せっかく「カッティング・エッジ」なものを目指すなら、何もソーホーでやらなくてもいいだろうに、とか。
まあ、見るほうは、作り手の苦労を知らずに、勝手なことを思うものである。
というわけで、次回のショーに期待しようと思います。

2010年6月2日水曜日

Gov. 2.0に参加してソーシャル・ネットワーキングに思うこと

先週のことになるが、メディア・ジャーナリストの津田大介さんのお手伝いでGov. 2.0 Expoというカンファレンスに参加してきた。
そんなことを今さらブログに更新しようというところが、私と津田さんの大きな違いである。
何ごとも消化作業をしないと、書けない体質。
だから報道に向いてなかったんだな、私。

こういう仕事はなかなかないのだが、津田さんという方とカンファレンスの内容にとても興味があったので、参加させていただいた。
勉強になりました。すごく。

要は、政府関係者(自治体から連邦政府まで、かつ海外からも)が、データ公開、クラウド・コンピューティング、ソーシャル・ネットワーキング・メディア、といった「2.0」的な問題について、情報交換をしたり、語りあったりする、という趣旨のカンファレンスである。
レクチャーをする側は、デベロッパーだったり、コンサルタントだったり、「2.0」的な問題に進歩的なアプローチを採用していて、かつ成果を出している自治体の高官だったり。

このカンファレンスのもようは、津田さんが速報で詳しくレポートしてらっしゃるので、こちらをどうぞ。
というわけで、私は詳しくは書かないけれど、Q&Aのセッションになると、「進歩的なアプローチ」代表の人たちに、「そんなこと言ったってセキュリティはどうするんだ?」とか、「懐疑的」タイプの人が質問したりして、進歩派と懐疑派の攻防はどこでも一緒なのね、と妙に納得してしまった。

3日の会期のあいだは、コンベンション・センターに缶詰。
休み時間も15分くらいだったりして、基本的に終日ずっとレクチャーを聞いていたことになる。
学生に戻ったような気分でした。

津田さんとは同じ年だということもあって、とても楽しい3日間だった。
しかも津田さんが私のことをツイートしてくれたら、一気にフォロワーが100人くらい増えて、フォロワー6万人の威力を体感させていただいた。

会場では、私も津田さんも含め、参加者がみんなTweet Deckを開いているのがおもしろかったのだが、レクチャーを聞いてる間に、津田さんがフォロワーにからまれたりしている。
それに津田さんが、丁寧に対応しているのをみて、頭が下がった。

フォロワーの数ではまったく比較にならないのだが、私も最近、たまにからまれることがある。
うーん、とうなってしまうこともあるし、嫌な気持ちになることだってあるけれど、スルーする自由があるのもツイッターのいいところだと思うので、あまり気にしないようにしているが、そこは人間なので、へこむこともあります。

なんてことを考えていたのだが、そういえば、レクチャーをしたカリフォルニア州の高官が言っていたことがすごく印象に残った。
参加者から、州の職員が業務時間外にツイッターしていたら、どう対応しますか?という質問が出た。
そうしたら、この高官は
「現実社会と同じように行動することを求めます」と答えていた。
つまり、州の職員が、たとえば業務時間外に人種差別的な発言をしたら、それは解雇に値するのだが、ツイッターでもそれは同じです、と。

これって、ネットワーク上の行動で同じことが言えるなと思ったのです。

私は、たびたびツイッター上で「名を名乗りましょう」というようなことを言ってきて、これがたまに反感を買うようなのだが、私がいやだなと思うのは、「匿名でやっていること」ではなくて、「匿名でやっていることをいいことに、知らない相手に乱暴な言動をすること」なのです。
もちろん職業上の縛りがあって、名を名乗れない人だっていると思うから、匿名ユーザーを全否定しているわけではない。
ただ、現実社会だったら、知らない人に、自分が何者かも言わないで、乱暴な物言いをしたりしないでしょ?と思うのです。

と考えていたときに、今回のカンファレンスの主催者であるティム・オライリーの「ブロガーの行動規範7箇条」をツイッター上で知った。
これは「ブロガーの」ってことになっているけど、特にこの「7」の項目、ネットワーク上のマナーとして誰にでもあてはまると思う。
ネットワーク社会はまだまだ歴史が浅いから、ユーザーたちが作っていくものだと思う。
だからこそ、マナーや規範が重要なのではないかと思うのです。