2010年5月24日月曜日

セックス・アンド・ザ・シティは好きですか?

セックス・アンド・ザ・シティは嫌いでしょう?とよく聞かれます。
なんでかな。
SATC(ちなみにこの略し方は、日本特有なんだけど)を「嫌い」という人間のタイプに見られるのは。

SATCが有料ケーブルチャンネルHBOで始まったのは、私がニューヨークに移り住んだ1998年だったし、通信社をやめて独立した頃に、日本で初めてDVDが発売されたり、そんなタイミングの偶然もあって、今まで、SATCについてはときどき書いてきた(このへんの話は、VOGUE NIPPONの6月号に書きました)。

というわけで、今回も、試写と記者会見(4人+クリス・ノース、監督のマイケル・パトリック・キング)に行って来た。
アメリカ人の男友達に「今週、SATCの仕事なんだよねー」と言ったら、「I am sorry」という答えが返ってきた。
何がそんなにイヤなわけ?と聞くと、
「It makes women look stupid」というではないですか。

どうなんだろうか。
確かにちらっと見ただけだと、そう見えるかもしれないな。

私個人的には、賛成できないところもあるけれど(たとえば、消費至上主義的なところとか)、ここまで社会現象化した映画を「嫌い」という一言で片付けられない気がするし、ごくごく客観的に見て、すごくよくできてると思う。

マイケル・パトリック・キングが記者会見で、「火がついた理由はファッションだったとしても、そのおかげで、女性の生き方にはいろんな形があるってことを表現できた」と言っていた。
ファッションは「エサ」だったわけだな、つまり。
そういう意味では、作り手の思惑通り。

今回、いくつかの雑誌に原稿を書きながら、テレビシリーズのこととかを思い出してみたのだが、やっぱりいろんな意味で、次々とタブーに挑んだところは評価するべきだと振り返ってみた(もちろんエンターテイメントだから、ばかばかしかったり、リアルじゃない部分は多少あると思う)。
わかりやすい例でいえば、「彼氏が3Pしたいっていうんだけど」とか「アナルセックスしたいって言われた」みたいな話は、現実世界でも起きているわけだけど、マスメディアではある意味タブーだったわけで、それを有料チャンネルだったとしてもテレビで表現しちゃった、ということは、やっぱりすごいことだったのだと思うのです。
そんな姿勢は新作でも生きていて、今回のテーマは、marriage、 motherhood、 menopause(更年期)の3M。
ここまで続いて、キャラクターが年をとると、避けて通れない道なんだろうけど、逃げないところはすごいと思う。

前回、「結婚=ハッピーエンド」っぽい流れで終わっていたところが多少不満だったのだが、今回のキモはやっぱり「結婚=幸せ」というほど簡単じゃないよ、という部分なのかなと思った。
結婚はゴールじゃないし、したらしたで、そのあとも延々と続いていくわけで、続けていこうと思ったら日々の努力が求められるわけです。
ま、当たり前なんだけど、意外とこれ、考えないまま結婚しちゃう人多いと思う(自分も含めて)。
最近、私のまわりの既婚者女性の周辺がいろいろ騒がしいこともあり、いろいろ深く考えてしまった。
おまけに同じ日の夜、Revolutionary Roadなんて見ちゃったこともあって。

映画自体のできは、どうですかね。
試写に参加したアメリカ人ジャーナリストたちの間では「ファンサービスっぽいよね」という意見が出ていた。
80年代の回想シーンとか、アブダビのバケーションシーンとか。

ちなみに前回もそうだったんだけど、記者会見では必ず「次はあるんですか?」という質問がでる。
そして、必ずはぐらかされる。
個人的には、そろそろやめてもいいんじゃないか、と今回思った。
ひとつのエンターテイメント作品としても、そろそろ限界にきていると思うし、現代の女性にSATCが言えることはもう尽きたような気がする。
オーディエンスに伝わったかどうかは別として。

新作が、日本でどう受け止められるか、楽しみです。